何に効く?



 プラセンタという言葉は「胎盤のラテン語表記Placenta」からきています。「平らなケーキ(en)」という意味で古代ローマから食べられていた!そうです。ご存じ、お母さんの胎内で胎児と母体をつなぎ胎児を育てるスペシャルな臓器で、受精卵が子宮内壁に着床して初めてつくられます。わずか10ヶ月の短い期間に赤ちゃんに限りないパワーを与え、役割が終わると出産とともに母体外に排出されます。この驚異的な働きをもつ胎盤には、タンパク質・脂質・糖質・ミネラル・ビタミン・アミノ酸・様々な酵素、豊富な栄養、各種有効成分の他に、様々な種類の細胞増殖因子やサイトカイン(生理活性物質)が含まれています。それから、どんなに最先端の科学を用いても解明できない不思議な領域を含んでいるのもプラセンタの特徴です。
 ふだん肉を食べない草食動物でさえも、哺乳動物は出産後、胎盤を本能的に食べます。人間もプラセンタの薬効が証明されるずっと前から世界各地で「秘薬」とされてきました。マリーアントワネットやクレオパトラ、楊貴妃で語られるように「美と若さ、不老長寿」のためにプラセンタが重宝されてきました。

さて。


 一般に細胞の増殖、分化、死や細胞機能の発現、停止は周りの細胞により厳密に制御され、その結果、正常な生体の恒常性が維持されています。こうした細胞同士のコミュニケーションは、細胞表面分子を介する直接的な細胞同士の接触や可溶性分子を介して行われています。この細胞間情報伝達分子が「サイトカイン」です。サイトカインは種々の細胞から分泌され、分子量がおおむね数万程度の細胞の情報伝達に関わるタンパク質で、生体内で免疫、生体防御、炎症、アレルギー、造血機構、内分泌系、神経系に直接的あるいは間接的に関与しています。サイトカインの研究は、免疫系の制御因子として1980年代に急速に発展し、以降膨大な数の論文が発表されるようになりました。現在ではサイトカインなしに生理、病態の理解は不可能であると言われています。
 サイトカインは、きわめて微量で効果を発揮する機能や、標的細胞特異性を示し産生はフィードバック調節を受ける機能の他、相互依存性サイトカインネットワーク機構が存在し、1種類のサイトカインが複数の多様な機能を示したり、複数のサイトカインが同じ機能を示したり、多様かつ複雑な働きをしています。


 生体内においては様々な種類の細胞が細胞間または細胞内においてシグナルを効率的に伝達し,生体の恒常性を保っています。生体のシグナル伝達に強い活性を有し,生理機能の維持に必要不可欠な物質群の総称が「生理活性物質」です。
 サイトカイン cytokineは,免疫細胞から分泌される生理活性物質の総称で,免疫学領域においてとても重要な物質とされ、炎症や細胞の増殖,分化,細胞死といった広い生理機能を有しています。サイトカインは分子量にして1万~数万程度の分子がほとんどで、ごく微量(pg/mL~ng/mL)でも強い活性を有します。そのほとんどは免疫細胞の細胞膜表面に存在する受容体に作用し,固有の伝達経路を介することによって生理活性を発揮します。現在までに数百種類ものサイトカインが発見されています。

インターロイキン1~18(1L-1~18)
インターフェロン-α・β・γ(IFN-α、IFN-β、IFN-γ)
リンホトキシン(LT、TNFβ)
腫瘍壊死因子(TNF、TNFα)
顆粒玉マクロファージ・コロニー刺激因子(M-CSF、CSF-1)
エリソトポエチン(EPO)
トロンボポエチン(TPO)
造血幹細胞因子(SCF)
単球走化活性化因子(MCAF)
トランスフォーミング増殖因子-α・β(TGF-α、TGF-β)
線維芽細胞増殖因子(FGF)
上皮細胞増殖因子(EGF)
血小板由来増殖因子(PDGF)
神経細胞増殖因子(NGF)等。


 2003年に放映された大ヒットTVドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」の中で、チャングムが試験官に「人体から出る薬剤は何か」と問われ「母乳と胎盤です」と答える場面がありました。

そう。人体中にサイトカインが最も多いのは「胎盤」。
だからプラセンタってミラクル!なのですね。


 胎盤が薬として用いられた一番古い史料は、中国・唐代(618~907年)の書『本草拾遺』(ほんぞうしゅうい)(陳蔵器 ちんぞうき)が初出で「人胞(にんぽう)、胞衣(えな)」の名で記載されています。その後、中国・明代(1368~1644年)の薬学書『本草綱目』(ほんぞうこうもく)(李時珍 りんじちん)に「紫河車(しかしゃ)」の名で記載があります。韓国の古い医学書『東医宝鑑』(とういほうかん 1613年)(許浚 ほじゅん)にも「紫河車」の名で記載があります。
*「紫河車」は別名「杜河車・人胞・胎衣・胎盤粉・混沌衣」甘鹸・温で、補気・養血・益精・助陽に働く補益の生薬であり、すべての虚損労傷に単用あるいは複方配用してよい。薬力は緩和であるが、温性であって燥ではなく、久服補益の薬物とみなすことができる。(中薬学)


 一方、私たち日本のプラセンタは、旧ソ連の眼科医ウラジーミル・ペトロヴィチ・フィラトフ(1845~1956)が研究を進めた組織療法に端を発しています。フィラトフは疾病の治療には胎盤を体内に導入すると最も高い成果が得られることを見出だし、同じ時代のソ連の病理学者A.D.スプランスキーも「神経病理学」の著書の中で「胎盤療法」について語りました。これらに触発されて日本の稗田憲太郎博士(1899~1971)は、中国で「胎盤埋没療法」を傷ついた軍人の治療に用い、のちに久留米大学で胎盤医療の研究に没頭されました。『胎盤漿が既往に於いて難治と言われてきた多くの疾病に有効であるのは、胎盤漿が脳髄に強く働いて局所の病変の改善を来たすためである。』(「医学思想の貧困一病理学者の苦斗」稗田憲太郎著)また同じ時代に太平洋戦争の敗色が濃くなってきた1943年に政府の戦争遂行のための人口増加政策の一環として文部省の全国共同研究「乳幼児母胎母健」の研究者となられた三林隆吉(1898~1977)が提唱したのが「ヒト胎盤の活用」でした。


 三林博士の言葉として『ホルモン、ビタミンはもとよりのこと、あらゆる既知の栄養物質を十二分に供給したとしても最早や、胎内に於ける如き発育振りは到底望めない。』『更にここに実に驚くべき事実がある。それは私共の知れる限り哺乳動物は総じて自ら挽出した胎盤を全く本能的にその場で食いつくしていることである。しかも草食動物ですら総じてこれを例外なく食いつくしているという歴然たる事実は、単に畜生の浅ましさとして看過さるべき事実ではない。私の目にはむしろ、神秘の扉を開かすべく大自然が提示している鍵と映じた。只人類のみが小ざかしくもこの大自然の理法にそむき、その恵みを拒み続けてきたのものではないだろうか。』とありました。
 従来の西洋医学的な治療は症状を除く目的で薬を使い分け、身体に備わったシステムを活用することにあまり重きを置いてきませんでした。しかし民間のなかで人々は「秘薬」とプラセンタを位置づけ、上手に身体システムを活用する術を知っていたのですね。

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